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介護相談室座談会 親の介護を考える 老人ホームを選ぶとき

座談会参加者プロフィール

親御さんの介護に直面された方

佐藤さま(40代)
佐藤さま 実母が75歳で認知症を発症。有料老人ホームに入居3年後、アットホームな有料老人ホームに転居、2年後自宅介護に。現在、小規模多機能ホーム(※)を活用中。
※小規模多機能ホームとは、住み慣れた地域での生活を継続できるように、利用者の状態や必要に応じて、デイサービスを中心にショートステイ、訪問介護の3サービスを組み合わせて提供する在宅介護サービス。
田仲さま(50代)
田仲さま 両親(91歳の父親、85歳の母親)の遠距離介護が必要になり、30年勤務した会社を早期退職。最近、両親のバリアフリーのマンションへの引っ越しをサポート。
現在両親ともに要支援2。父親は、週2回のデイサービスを利用。老夫婦2人暮らしを遠方から支援中。

介護の専門家

染谷直(ベネッセ介護相談員)
染谷直 老人ホームにて介護職員、入居相談員として約7年間勤務。ケアマネジャーの資格を持つ。現在、吉祥寺相談室の入居介護相談員。
寺田敦子(ベネッセ介護相談員)
寺田敦子 有料老人ホームにて看護職員、研修育成・安全管理、ホーム長など約14年間勤務。看護師、ケアマネジャーの資格を持つ。現在、介護相談室主任相談員。
大下直子(ベネッセ介護相談員)
大下直子 老人ホームにて介護職員、ホーム長として9年間勤務。現在、吉祥寺相談室の相談員。

-老人ホーム、いつから検討すべき?老人ホームの選び方

染 谷 :
本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。私たちベネッセ介護相談室では、介護の現場を知る相談員がご入居されるご本人様とご家族のご希望に合わせ、全国2000カ所以上の老人ホームや介護施設の中から最適なホームを提案させていただいています。今回は、実際に親の介護を経験していらっしゃる佐藤さまと田仲さまのお話を伺う機会に恵まれました。よろしくお願いいたします。
まず、佐藤さまと田仲さまにとって老人ホームの印象はどのようなものでしょか?
佐藤さま:
佐藤様私は母親が2カ所の老人ホームを経験した結果、本人に合う老人ホームと合わない老人ホームがあることを知りました。一人暮らしをしていた母親の認知症が進んだことで老人ホームを探し始めたのですが、一刻も早くいう思いが強く、知識がないままにホームを探したという経緯があります。行政の福祉相談室にも相談し、何カ所か見学をしましたが、1カ所目のホームは規模が大きいホームだったので、母には合わなかったようです。一人一人の入居者に目が行き届いていないと感じました。
染 谷 :
具体的には、どのような不満がありましたか?
佐藤さま:
不満というより、母親に会うたびに笑顔が少なくなったのです。3年後、小規模な老人ホームに転居したところ、母親の笑顔が戻りました。老人ホームによってこんな違いがあるとは思いませんでした。
染 谷 :
相談室に寄せられるご相談でも、ご両親などが体調を崩されて入院し、退院と同時にあわててホームを探し始めるケースやギリギリまで自宅で頑張ってギブアップして探すケースなどが多いです。もう少し早い段階から施設を探していただいたほうが、ご本人にとって、よりよい環境や希望する生活ができるホームを、余裕をもって検討できます。
田仲さまは、老人ホームの印象はどのようなものですか?
田仲さま:
私は介護関係の会社に勤務していたので、老人ホームはいくつか見学していました。その中で、自分でも入居してもいいと感じられるホームと入居は難しいなと思うホームがありました。
染 谷 :
それはどんな違いでしたか?
田仲さま:
田仲様スタッフの雰囲気とか周りの環境などですね。現在は、両親ができるかぎり夫婦で暮らしたいという強い希望があるので、老人ホームへの入居の予定はありません。それでも、今後2人で暮らせなくなったり、認知症を発症したりした場合、選択肢のひとつに老人ホームがあるというのは、心強いです。そのためにも親に最適なホームを選べる知識や情報を持ちたいと考えています。
寺 田 :
老人ホーム選びに大切なのは、まずご本人の意思ですね。そして、長年住まわれた地域との関係です。認知症などの病気を持っていたとしても、地域で過ごされた生活や人間関係などを考えて、ご本人に合ったホームを選ぶことが大切です。そして入居後、ご家族が一緒に介護に関わっていくことになるスタッフとよりよい関係が作れるかどうかが、老人ホーム選びのキーワードになります。

-認知症の感情に寄りそうケアが求められている

染 谷 :
染谷佐藤さまは、別居しているお母さまの認知症がきっかけで老人ホームに入所されたということですが、どのようにして認知症に気付きましたか?
佐藤さま:
母は長年勤めていた仕事を退職してから、月に1~2回わが家へ来て孫の世話をしてくれていました。最初に認知症に気付いたのは、「電車の乗り方が分からない」と言い始めたことです。さらに、「お金を取られた」などと虚言が始まり、これは認知症だなと思いました。最終的には、迷子になって警察から連絡があったり、自分でパニックになって救急車を呼ぶなどの事件がおこるようになりました。
染 谷 :
介護保険の申請をされて老人ホームを探したのですか?
佐藤さま:
はい、介護認定で要介護2でした。母親は一人暮らしだったので、介護の選択肢としては、老人ホームしかありませんでした。
大 下 :
1カ所目のホームでお母さまの笑顔が少なくなって不安を抱いたそうですが、医師との連携はとれていましたか?
佐藤さま:
ホームのかかりつけ医との面談はありましたが、体調や薬の説明を一方的に聞くだけでした。ホームが自宅から車で2時間の遠距離で、私は長く入居させたくない気持ちがありました。そんな思いもあって、私自身コミュニケーションに積極的ではなかったかもしれません。現場の介護スタッフの方たちは一生懸命サポートしてくださっていたと思いますが。
染 谷 :
ホームを移ったきっかけはなんですか?
佐藤さま:
佐藤様母親の表情がどんどんなくなっていったので、笑顔を取り戻したいことがきっかけですが、私が引っ越したことが引き金になりました。介護関係の仕事をしている友人から、引っ越し先の近所にとてもいいホームがあるよと教えられ、見学に行きました。1カ所目のビジネスホテルを改装した老人ホームと違って、住宅街にある一軒家で入居者さんも10数人とアットホームな雰囲気でした。たまたま一部屋空いていたので、すぐに手続きをしました。転居後、母はよく笑うようになりました。ホームが本人にとって合うか合わないかでずいぶん違うとつくづく思いました。
大 下 :
認知症の方は、不安な気持ちをスタッフと一緒に解消することで、笑顔が増えることは、とても多いです。認知症状は十人十色、それぞれ違います。スタッフは入居されたときからの状況しか知りません。入居前の人生、生活や性格、ご家族との関係などを知ることで、ご本人に寄りそうサポートができます。
寺 田 :
寺田認知症は痴呆と呼ばれていた時代が長かったので、誤解されていることがとても多いのです。認知症は、情報を自分の中に取りこんで分析して使っていく能力は衰えていきますが、感情は変わりません。その感情に寄りそうケアが求められています。声を大きくあげる、人を寄せ付けない、これらの行動は周りの人からみれば奇異にうつりますが、ご本人からすれば自分の気持ちが伝わらないためにSOSを送っているだけなのです。そのシグナルを受け止めるためには、やはりご本人の生きてきた背景を知らないと応えられません。現在は、認知症ケアも介護スタッフが勉強してきましたので、私たち相談室では、よりよいケアができるホーム探しのために常にアンテナをはりめぐらせています。

-突然始まった遠距離介護

染 谷 :
田仲さまの遠距離介護の始まりはどのようなことでしたか?
田仲さま:
昨年の夏、父親が突然夢遊病患者のようにもうろうとして、夜歩きまわるようになりました。その2カ月後、母親が看病疲れで倒れ、入院しました。高齢とはいえ2人で元気に暮らしていたので、突然、親の介護が始まるのだと身を持って知らされました。
染 谷 :
お父さまはご病気を発症されたのですか?
田仲さま:
私は認知症を疑いました。すぐに駆けつけ、両親ともに検査を受けましたが、脳にはまったく異常がありませんでした。父親の症状の原因は、薬の飲み合わせによる副作用でした。眼科や整形外科、内科で不眠を訴え、睡眠導入剤をそれぞれの科で処方されていて、薬の管理ができていなかったようです。
染 谷 :
お母さまも知らなかったのですか?
田仲さま:
薬は、父親が自己管理をしていたのです。今回のことで、私は両親の生活習慣を何も知らなかったことに改めて気付かされました。考えてみれば、18歳までしか一緒に暮らしていなかったのですから当然ですね。遠方に住んでいると親の生活や何が起こっているかなどがわからないですね。
染 谷 :
会話私どもでも、遠距離介護の相談をよく受けます。遠方では、いざというときに親がどういう選択をしたいかという話合いをしていないことが多いですね。急に倒れたので呼び寄せようか、でも引っ越しできる体力があるのか? 直面してみないとわからないことがたくさんあります。ですから、お元気なときに、今どんな生活をされているのか、何が好きで何が嫌いかなど、経済的なことを含めて将来はどのような暮らしがしたいか、ご家族で話し合う時間を持っていただくことをお勧めしたいです。
田仲さま:
私は、地域の老人ホームのパンフレットを集めて、体調が回復した両親と話合いました。すると、できるかぎり夫婦でがんばって自宅で暮らしたいと希望をはっきり伝えられました。
染 谷 :
介護認定はいかがでしたか?
田仲さま:
両親とも要支援2でした。この段階であれば、両親の気持ちを尊重してサポートできると思いました。
染 谷 :
どのようなサポートをされましたか?
田仲さま:
田仲様まずは、自宅の引っ越しです。エレベーターのないマンションの3階だったので、母親は買い物にも不自由で、ある種、陸の孤島のような状態になっていました。ただし賃貸だと自由に手すりが付けられないので、家を買い替えることにしました。引っ越しに際しては、ケアマネジャーさんにも相談し、両親の生活圏内で探しました。たまたま希望にそった物件がみつかりましたが、もっと早い段階で考えていればと思いました。遠方にいると対応が遅れてしまいますね。
染 谷 :
ご両親が急に倒れる前に確認しておけばよかったことは何ですか?
田仲さま:
老後の暮らし方の希望を聞いておけばよかったと思いますね。私は、父の「暮らしなれた家で死にたい」という意思を尊重していました。でも今回のことで、階段しかないマンションでの暮らしができないという現実をつきつけられました。もっと早くに、老後の暮らし方を話し合っておくべきだったと思います。そうすれば、老人ホームという選択肢があり、親をつれて見学にいけたと思います。

-後悔しない老人ホームの選び方

染 谷 :
佐藤さまのお母さまは、現在どのような生活をされていますか?
佐藤さま:
会話わが家に同居して、小規模多機能サービスを受けています。日中のほとんどはデイサービスに通い、私の仕事の関係でショートステイも利用しています。老人ホームでの生活と違って、私の友人に会ったり、デパートに行ったりすることが刺激になっているようです。できる限り、今の生活を維持したいですが、今後、またホームにお世話になることもあると思います。
染 谷 :
その場合、どのようなホームを選びたいですか?
佐藤さま:
認知症の人は、理解することはできなくても感じることはできます。実際、母は私の声色ひとつで不安になることがあります。ですから、認知症の人のちょっとした変化に気付いて、やさしく対応してくれるサポートが重要ですね。そうした意識の高いスタッフがそろっていれば、安心できる瞬間や笑える瞬間が多くなると思います。そんなホームで暮らせれば、母も幸せだと思います。
染 谷 :
老人ホーム探しは、入居がゴールではありません。ご入居後いかにおだやかな笑顔を持って生活していけるかが最優先です。
佐藤さま:
老人ホームで働くスタッフの方たちの職場状況が悪ければ、その影響を入居者が受けてしまうので、それが一番不安ですね。スタッフにとって快適な職場であるかどうかが私たちにも分かるといいのですが。
染 谷 :
パンフレットに施設情報はありますが、働いている人の状況、人となりなどは分かりません。やはり実際に足を運んで現場で働いているスタッフの声を直接聞くことが求められます。ホーム長さんや介護スタッフさんたちがどんな思いで入居されている人たちと向き合っているのか、それによって受けられるサービスの質が変わってきます。1回30分程度の見学ではなかなかわからないと思いますので、何度か訪ねて判断したいですね。
寺 田 :
私は見学時に一番長く勤めているスタッフのお話を聞くことを勧めています。現在国は、長く勤めているスタッフが多いホームや、介護福祉士の有資格者が一定基準以上いるホームをより評価しており、「加算をする(補助金額を上げる)」という制度になっています。ホーム側もスタッフが長く勤められるようにプロとして学んでいく姿勢を育てています。
もう一つは、見学のときに食事を一緒に食べていただくことです。高齢になるといろいろな障害がでますが、味覚は高齢になればなるほど奥深くなっていきます。認知症になってもうまみ成分への味覚は残ります。ご本人の好みにホームの食事があっていることも大事な視点です。
大 下 :
大下ホームに入居後、ご家族はホームに積極的に関わるといいでしょう。介護仲間が増えたと思って、ご本人の情報を伝えましょう。どんなことでもホームのやり方だと思いこまず、意見を交換しましょう。介護の応援団がいっぱいいると思ってください。
染 谷 :
介護に孤独は禁物です。情報収集だけでなく、いろいろな人にご本人の状況を相談すると新しい発見が必ずあります。私たちは応援団の一員として、ご家族とともにご本人にとって最適な選択を考えていきたいと思っています。また、ご入居後、ご家族はこのホームを選択して本当によかったのかと悩まれることも多いです。そうした思いにも寄りそっていきたいです。
集合写真
2015年12月某日 ベネッセの介護相談室吉祥寺オフィスにて
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