トップページ >  お役立ち情報 >  知っておきたい高齢者の病気 >  第1回 認知症

【第1回】知症
(監修:霜田 里絵先生)

日本の65歳以上の4人に1人が認知症といわれます。認知症は、脳の神経細胞が減少することなどにより、脳の働きが低下してしまう病気。適切な治療で進行を遅らせることができるので、早期発見が重要です。認知症の原因と治療法、今からできる予防法を銀座内科・神経内科クリニック院長の霜田里絵先生に伺いました。

霜田 里絵(しもだ さとえ)先生

霜田 里絵先生(しもだ さとえ)先生

医師・医学博士。順天堂大学卒業後、同大学病院の脳神経内科医局を経て、都内の病院に勤務。2005(平成17)年から銀座内科・神経内科クリニック院長。2011(平成23)年に医療法人社団ブレイン・ヘルスを設立し、理事長に就任。パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害、頭痛、めまい、しびれなどが専門。近著に『絶対ボケない頭をつくる!』(学研GAKKEN)。

認知症の原因アルツハイマー病による認知症が6割を占める

認知症とは、脳細胞が死滅したり、機能が低下したりして、記憶・判断力などの障害が起こり、社会生活が営めなくなった状態のこと。認知症を引き起こす原因の約6割がアルツハイマー病で、ほかにも脳血管性認知症、レビー小体認知症などがあります。

アルツハイマー病
脳細胞が急激に減り、脳が委縮してしまいます。血管の老化を促進するメタボ(メタボリック・シンドローム)の人、高血圧や脂質異常症などの持病がある人は、アルツハイマー病のリスクが高くなるといわれています。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血によって、その部分の脳の働きが悪くなったために起こります。
レビー小体認知症
レビー小体という特殊な物質が脳の大脳皮質に広がり、神経細胞の働きを阻害して起こります。

認知症の症状記憶障害を中心に様々な症状がみられる

認知症の主な症状としては、「記憶障害」があります。収納場所を忘れたとかうっかり約束を忘れたなどの「加齢による物忘れ」とは違い、すっぽりと経験や体験が喪失してしまうのです。記憶障害の他にも次のような症状などがみられます。

記憶障害(記銘力障害)
……新しいことが覚えられなくなる
記憶障害(記憶力障害)
……過去の記憶が思い出せなくなる
見当識障害
……日付や場所がわからなくなる
判断力障害
……筋道を立てた思考が苦手になる
計算力障害
……簡単な計算ができなくなる
実行機能障害
……段取りの必要な作業(たとえば料理など)ができなくなる

これらに加え、本人の性格や環境、人間関係などいろいろな要因が絡み合って、徘徊、暴力、暴言などの行動異常や、妄想、幻覚、抑うつ、睡眠障害、異食・過食などがおこります。さらに症状が進行すると、嚥下障害や歩行障害など、さまざまな身体的症状も現れます。

認知症チェックリスト兆候がないか…の確認を

以下の項目に、いくつか当てはまる場合、認知症の可能性があります。老親がひとり暮らしをしている場合、家族はこうした変化を見落としがちで、発見が遅れることがよくあります。電話をする際などに、さりげなく前回話した内容を忘れていないか確認したり、最近のニュースを話題にしたりして、認知症の兆候がないか、意識的に確認するといいでしょう。

チェックリストチェック
鉛筆
  • 服装や部屋の整理整頓などがだらしなくなった
  • ささいなことで怒りっぽくなった
  • 新聞を読まないなど、新しいことに興味がなくなった
  • 話のつじつまがあわない
  • 物忘れが増え、いつも探し物をしている
  • 待ち合わせの場所、新しく知り合った人の名前など、新しい情報が覚えられない
  • 段取りが必要な料理や片付けが下手になった
  • 慣れた道順をまちがえるようになった。
治療法、今からできる予防法とは?

治療法、今からできる予防法とは?

認知症の治療法家族が管理しやすい貼り薬も普及

現在、認知症を根本的に治す治療法は残念ながらありません。
しかし、早期に発見し適切な治療を施せば、進行を遅くしたり、症状を軽くしたりできます。

リハビリテーションのイメージ

治療法は、薬物療法とリハビリテーションが主体です。
薬物治療では、近年、飲み薬のほかに貼り薬の利用が増えています。本人が薬を飲みたがらない場合や管理できない場合、家族や介護者が1日1回貼ればいいものなので、重宝です。

リハビリテーションには、書き取り計算や音読、回想法、音楽療法、作業療法、園芸療法、演芸療法などがあります。
治療とおなじくらい大切なのが、信頼できるかかりつけ医を見つけることと、日常生活における家族や周囲の人のサポートです。
家族だけでは、出口の見えない介護に疲れきってしまいます。介護保険を申請し、認定を受けましょう。介護のプロの介入により生活にリズムができ、症状が軽くなるケースもよくあるのです。

認知症の予防法メタボ対策はすなわち認知症対策

高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病は認知症を引き起こしやすいことがわかっています。
「メタボ対策はすなわち認知症対策」といえるでしょう。

認知症予防のキホン

急に全てを理想的な状態にするのは難しいのであれば、まずは次にあげることから始めてみてはいかがでしょうか。

運 動

1日8000歩のウォーキング。距離にして約4km、時間は75分程度。週に3~4回の目安で行いましょう。歩くうちに少しずつ汗ばむくらいの速さを目安にしてください。

食 事

腹7分目でカロリーダウンします。有効なのは、夕食時、ご飯やパン、パスタなどの主食を抜くこと。おかずの肉・魚・野菜だけにすると栄養バランスがとれたダイエット食になります。

脳のトレーニング

朝昼晩と鏡を見て、肌の調子や体型をチェック。ときには、若づくりをして自分の姿に自信を持つことで脳も活性化します。これは、「心をよい状態に保つ」ことにもつながります。

今すぐはじめる認知症予防おすすめ食材&数字の計算

オリーブオイル、ココナッツオイル、かつお節、納豆がおすすめです。
いずれも、食生活に手軽にプラスできるので、ぜひ、おすすめします。

日常生活に暗算や丸暗記を取り入れて

脳を鍛えるには、「数字の計算」は効果的

オリーブオイル

買い物をするときや家計簿をつけるときに、計算機に頼らず暗算をします。最初はきついですが、だんだん工夫するようになります。たとえば、980円と970円の食材を購入したとき、そのまま数字を足す方法もありますが、2000円からそれぞれ-20円、-30円とする方法もあります。こんなふうに脳を働かせることで活性化します。

単純に、「丸暗記力」を高めるトレーニングもおすすめです

人間の記憶力は、「マジックナンバー7」と言われています。これは数字の羅列の場合、単純に覚えられるのは7ケタ、もしくはプラスマイナス2ケタの範囲という意味です。この能力は、トレーニングすることで高められます。
家族や友人の携帯電話の番号を覚えると、脳が活性化するだけでなく、いざというときにも便利です。

【まとめ】
認知症の予防のためには、知力・体力・気力の維持が大切です。メタボなどの生活習慣病に気をつける。日々の運動や食生活へのちょっとした気づかいを、お忘れなく。

イラスト/本田葉子

0120-86-8165
0120-86-8165