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【第2回】中症
(監修:栄山 雪路先生)

熱中症になる人は、年々増えています。しかも熱中症で亡くなる人の8割以上を65歳以上の高齢者が占めており、高齢なほど深刻になりやすいのが特徴です。そこで今回は東京都町田市の「栄山医院」院長、栄山雪路先生に熱中症の基礎知識と、高齢者の熱中症に対する注意点や予防法などを伺いました。

栄山 雪路(さかえやま ゆきじ)先生

栄山 雪路(さかえやま ゆきじ)先生

聖マリアンナ医科大学卒業。1964年に父親が開業した東京都町田市の栄山医院に2002年から勤務。2005年より同院院長を務める。開業当初から往診や在宅診療に力を入れており、関係機関や病院との連携を図り、町田市全体で円滑な在宅医療が行えるように尽力している。薬に頼り過ぎずない医療をめざし、漢方や東洋医療を学び専門医の資格も取得。

熱中症の原因高温多湿の環境で、体に熱がこもってしまう状態

熱中症は、高温多湿の環境で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温を調節する機能がうまく働かなくなったりして、体内に熱がたまってしまう状態のことをいいます。症状としてだるさ、めまい、立ちくらみ、吐き気、筋肉痛などが現れ、重症になると意識障害が起こります。

だるさ、めまい、立ちくらみ、吐き気、筋肉痛
起こりやすい気象条件 起こりやすい時期

熱中症の症状めまい、立ちくらみなどが初期症状

症状 対処法
Ⅰ度
(応急処置と見守り)
めまい、たちくらみ、筋肉痛、こむら返り(脚がつる)、大量の発汗 涼しい、風通しの良い場所に移す。安静にして、体を冷やす。水分と塩分を補給する。
Ⅱ度
(医療機関へ)
頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下 Ⅰ度の対応を続ける。誰かが必ずそばで見守り、症状が改善しなければ病院へ。
Ⅲ度
(入院治療)
意識障害、けいれん、体温が高くなる Ⅰ度、Ⅱ度の対応を継続し、すぐに救急車を呼び、病院へ。

熱中症は上図のように、大きく3つの段階に分けられます。Ⅰ度の状態で、塩を入れた水を飲むなどして徐々に症状がよくなれば、応急処置と見守りだけで問題ありません。Ⅱ度でⅠ度の対処で改善がみられなければ医療機関へ。Ⅲ度ならすぐ救急車を呼びましょう。。症状は短時間で刻々と変化するので注意が必要です。早めに「おかしいな」と気づいて、早めに対処すれば、死に至ることは避けられます。

熱中症ココに注意高齢者は特に注意が必要

2013年、日本での熱中症による死亡者550人のうち85%を占める474人が65歳以上の高齢者

体に占める水分の割合が成人で60%位なのに比べ、高齢者は50~55%と少なくなり、気温の影響を受けやすくなります。さらに高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能や、暑さに対する体の調整機能が低下しています。このため本人が喉の渇きや暑さを自覚していなくても、脱水(体の水分が欠乏している状態)をきたしていることがあります。ですから意識して対策することが欠かせません。また高齢者は心臓や腎臓などの機能が低下していることがあるため、熱中症になってしまったとき、症状が重くなる傾向があります。また、飲んでいる薬によっては脱水になりやすいものもありますので注意しましょう。

高齢者の熱中症リスクがわかるチェックリストチェック
ここに注意!
鉛筆
  • 厚着をし過ぎていないか
  • 通気性が良く、吸湿・速乾機能のある衣服を着ているか
  • エアコンや扇風機をつけずに我慢していないか
  • 室温があがりにくい工夫をしているか(こまめな換気、遮光カーテン、すだれなど)
  • 温度計・湿度計などで、部屋の温度・湿度を管理しているか
  • 外出時は日傘や帽子を使っているか
  • 日中(12時~15時)の外出は控えているか
  • こまめな水分補給・塩分補給ができているか(成人の場合1日500ml~1000mlが目安)
  • 周囲に見守ってくれる人がいるか
ここをチェック!
  • 口・のどが渇いていないか
  • 尿の頻度が減っていないか
  • 皮膚を触ってみて、固く乾いていないか(つまむと元にもどらないなど)
治療法、予防法で大切なことは

治療法、予防法で大切なことは

熱中症の治療法とにかくすぐに水分補給

治療リスト
体を冷やす
↑飲めるようなら水を少しずつ飲ませる
自力で水を飲めない場合や、意識がない場合は、直ちに救急隊を要請しましょう。

高齢者の熱中症は、室外だけでなく室内で発生することが多いのが特徴です。もし熱中症が疑われるようなら、すぐに涼しい環境を作り、涼しい服装にし、水分を補給しましょう。経口補水液が最適ですが、なければ塩を一つまみ入れた水やお茶でもよいです。意識がない、自力で水分補給できない、症状が回復しないなどの場合は、緊急事態。救急車を待っている間はウチワで風を送り、わきの下、太ももの付け根をタオルでくるんだ保冷剤などで冷やしたりします。足を高くして寝かせ、手足から体の中心に向かってマッサージするのも効果的です。

熱中症の予防法高齢者は脱水が大敵!

熱中症のリスクが高い高齢者は、7月から9月頃まで特に注意が必要です。
本人が十分に対策できない場合は、周囲で見守る人がサポートしましょう。

昆布茶、味噌汁などでミネラルや塩分を補給

昆布茶、味噌汁などでミネラルや塩分を補給

熱中症予防には水分だけでなく塩分も適度に補給したいところ。スポーツ飲料は意外と塩分が少なく糖分が多いので、要注意。梅昆布茶や味噌汁はミネラルや塩分が含まれていて、予防に有効です。最近では経口補水液が普及しています。いざというときのために数本常備しておくとよいでしょう。

心臓、腎臓などに持病がある場合水の飲み過ぎに注意

心臓、腎臓などに持病がある場合水の飲み過ぎに注意

心臓や腎臓に持病がある場合、熱中症予防のためと意識して水を飲み過ぎると、代謝しきれずにむくみが出たり、持病がさらに悪化したりする危険があります。このような持病がある場合は、医師と相談し、適切な量を決めて無理のない範囲で水分補給してください。

1日2リットルにこだわらない身体の芯を冷やさない生活を心がけて

「水分は1日2リットル」とは、欧米人に推奨される量。食文化、気候、体質などから考えて、日本人が1日2リットル飲むと、体がむくんだり、体の芯が冷えたりするなどの不調を引き起こす原因になりかねません。ちなみに「冷えは万病のもと」。当然熱中症のリスクも高まるので、睡眠不足にならない、栄養バランスの良い食事をとる、など普段の生活に注意し、冷たいものの飲み過ぎや食べ過ぎは控えましょう。

高齢者が不慣れな最近の猛暑・酷暑対策は、周囲の人が協力を

近年の夏の暑さは、高齢者が若い頃に体験したことのないレベル。住環境も、木造であっても気密性が高いなど大きく変化しています。このため体力面だけでなく、気持ちの面や長年の生活習慣の面でも暑さに対処しきれないケースが見受けられます。ご本人たちは大丈夫だと思っていることもあるので、周囲の人が上手に安全な環境づくりをサポートしましょう。

エアコンが苦手なら扇風機を併用してやさしい涼風をつくる

エアコンが苦手なら扇風機を併用してやさしい涼風をつくる

エアコンの冷気で体が冷えることを嫌う高齢者は意外と多いもの。その場合、エアコンの風が直接体に当たらないように風向きを天井方向に設定し、扇風機で冷気をかきまわして部屋を涼しくするといいでしょう。扇風機を使うことで、省エネ効果もあります。

夏場は日中の外出を控え出かけるときは日傘や帽子を忘れずに

夏場は日中の外出を控え出かけるときは日傘や帽子を忘れずに

日中、買い物に出かける習慣のある高齢者は少なくありません。でも梅雨明け早々の7月中旬から9月中旬ころまでの暑さの厳しい時期は、12時~15時頃の外出は避けたほうが無難。それ以外の時間でも、出かけるときは日傘や帽子、水分を持ち歩いて熱中症対策を忘れずに。

【まとめ】
熱中症予防は、普段からの食事や睡眠などの基本的な生活習慣や生活環境が大事です。もちろん、適度な水分と塩分を補給しましょう。高齢者は室内での熱中症が多発。節電を意識しすぎるあまり、エアコンや扇風機の使用を控えることはやめましょう。

イラスト/本田葉子

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